ラボ型開発(ラボ契約)のメリットデメリット大分析!

■ラボ型開発(ラボ契約)とは?

ラボ型開発(ラボ契約)とはオフショア開発の新しいスタイルです。従来のオフショア開発における失敗や問題を解決できるポテンシャルを持ち、近年のソフトウェア開発に適した手法として注目を集めています。ラボ契約は、オフショア開発の契約形態の1つであり、ある一定期間(例. 半年〜1年)において、特定のエンジニア人員を常に確保し、顔が見える状態で自分たちのプロジェクトにアサインできるものです。

オフショア開発といえば、外部委託のイメージが強い方も多いかと思われます。これは請負型開発(請負契約)にあたり、海外側が成果物の納品責任を負い、国内側が仕事結果に対して報酬を支払う形態です。新興国でのオフショア開発は、コストを削減する目的からたびたびブームが起こりました。たしかに人件費だけみれば格安であり、その面でのコスト削減は実現したものの、現地のブラックボックス化や頻繁な手戻り等で、結果的に全体コストは高くなってしまったという声が少なくありません。

良いコミュニケーションがあってこそプロジェクトマネジメントは成功するという原則を考えれば、オフショア開発について遠隔・遠距離コミュニケーション前提で推し進めてしまったことが明らかな失敗だったと言えるでしょう。昨今ではそうした過去の教訓を踏まえて、自ら現地に乗り込んでいき、海外に自社のエンジニアチームを育てる姿勢を見せ続けた日本企業から成功事例が出てきています。現地に乗り込んでいく方法は主に2つあり、1つは「現地法人設立」によるもの、もう1つが「ラボ型開発(ラボ契約)」によるものです。

メリット・デメリットは何らかの対象と比較した際に論じることが出来るため、今回は「現地法人ケースとラボ型ケース」「請負型ケースとラボ型ケース」の比較を行います。

 

[1]ラボ型開発のメリット【現地法人との比較】

■1-1. クイック&スモールスタートできる!

海外現地法人を設立する場合、あなたが設立手続きに慣れていなければ必要以上に時間がかかることでしょう。オフショア先の国ごとに事情が異なりますので、具体的にどれぐらいかかるとは言えませんが、初挑戦の企業は概ね苦戦しています。また、現地法人の維持コストに見合わせるためには、それなりの組織規模を出すことが必要であり(求められることもあり)、スモールスタートを難しくしています。たとえば、3-4名ぐらいから始めてみたい!!ということは難しいです。その点、ラボ型であれば素早く小さくスタートすることが可能であり、現地チームの人数も20-30名まではラボ型のほうが安い場合があります。少人数からでも始められるため、対象企業の幅を広がっています。

■1-2. リスクヘッジを効かせることができる!

現地法人を一度設立してしまうと「撤退」が容易ではないことがありえます。ラボ型開発の形態であれば、自社の現地法人を持たずとも、現地開発チームづくりに取り組みだすことができます。しかし、結局そのチームは先方のものでしょう?という声もあるかと思われますが、卒業前提でラボ型開発のサービス提供を行うオフショアカンパニーも出てきています。自社の現地開発チームをラボ型でスタートさせ、ある程度の人数規模(例. 20-30人)に達した段階で現地法人を設立し、運営中の開発チームを引き連れて卒業していけるアプローチもあるわけです。このアプローチであれば、リスクヘッジを多少なりとも効かせることが可能です。

■1-3. 当初から開発に専念することができる!

過去に数多くのオフショア開発経験を積んでいて、新しい進出先でも後戻りするつもりがなく、果敢に取り組む企業もあるかもしれません。スピーディに現地法人を立ち上げ、初期から開発ボリュームを出し、現地に骨を埋める覚悟があっても、もちろん新しい土地では困ることがあります。よく起こりがちなのは、現地コネクション・ネットワークの不足や、現地独特の管理業務ノウハウの不足から、膨大な時間をとられたり、物事が前に進まなくなったりすることです。こうなってしまうと、現地法人設立後も当面のあいだは「開発」に専念させてもらえない状態が続くことになります。ラボ型であれば煩雑な管理業務を行う必要がありませんので、序盤から開発業務やチームづくりに集中することが可能です。

 

[2]ラボ型開発のメリット【請負型との比較】

■2-1. 見積書・要求仕様・設計書、すべて不要!

請負契約(請負型開発)では、適切な要求定義・設計書を用意することが必要であり、加えて度重なる見積精査や価格調整など、多大なる時間を費やしてしまいます。そもそも正確で明確な「要求仕様」を作成するのは難しく、それがオフショア開発となれば尚更というところでしょう。また、見積りは要求仕様をもとに行われるため、仕様変更等が起これば再度見積りを行う必要があります。ラボ契約ではこうした手間を省略することが可能であり、初速が速いことが特徴的です。

■2-2. 非常に自由度が高く、エンジニアに直接指示が出せる!

ラボ契約では、エンジニア人員を現地開発会社の雇用対象としながら、まるで自社の開発チームのように自由度が高く直接指示を出して開発業務やプロジェクトを進めることができます。もし仕様や設計が途中で変更になったとしても、見積りをやり直す必要はありません。最近では、日本人の駐在員が渡航し、現地の開発専用オフィスで自社専属の現地エンジニアと机を並べて開発に取り組む事例も増えています。

■2-3. チームビルディングからラーニングカーブを描ける!

国内でもチームビルディングをしないと、間違いなくプロジェクトは上手くいきませんので、海外であれば余計にチームビルディングの必要性が高まります。短期プロジェクトでコストダウンを目指す場合は、じっくりとチームビルディングしていられないと思いますが、中長期的に一緒に歩けるチームを創ろうとする際には、意図的にノウハウをためていくことで、ラーニングカーブの恩恵を受けていきます。もちろん、海外には日本のように人材流動性の低い国ばかりではありませんので(日本も今後どうなるか分かりませんが)、その意味でも長い関係性を構築できることは必須となります。

■2-4. 納品をゴールではなく、そこからスタートに変えられる!

Webサービスやスマホアプリの開発委託では「私にはスタートだったの、あなたにはゴールでも」という事象が起こります。基本的に小さく産んで大きく育てることが必要なのですが、請負契約では時に「納品すること」がゴールに置かれてしまう宿命があるのです。請負契約を用いている全ての開発会社に当てはまるわけではありませんが、契約形態上のこうした傾向が出てしまうことは事実です(運用契約まで結んで取り組む等の対応策はあります)。

 

[3]ラボ型開発のデメリット【現地法人との比較】

■3-1. 機密情報や個人情報中心の業務を扱えないことがある…

これはアウトソーシング全般に共通する話であり、ようするに「完全社内」でないと発生するデメリットです(社内であれば100%安心か、というとそれも違いますが)。たとえ秘密保持契約(NDA)を結んでいたとしても、企業によっては社外では扱えない業務というものがありますので、ラボ型でも扱えない対象が出てくるでしょう。ただ、オフショア開発でそうした業務に当初から取り組む企業は少ないかもしれません。現地法人化させる理由の一つとして、自社内でしか扱えない業務のオフショア対応があります。

■3-2. 積極的にチームビルディングしないと関係性が深まらない…

ラボ型は正確に言えば自社雇用ではありませんので、よりいっそう強い気持ちでチームビルディングに臨まなければ、現地エンジニアたちと心を通わせることは難しくなります。もしラボ型開発をステップにして、現地法人化を考える企業であれば、尚更エンゲージメントは高めておかなければ、いざ移籍させようとした場合に断られてしまいかねません(契約面での移籍強制は難しいため自己意思に委ねることが一般的)。ラボ型開発のメリットを享受するだけではなく、こうした課題にも対応していく必要があります。

 

[4]ラボ型開発のデメリット【請負型との比較】

■4-1. スポット案件には向かず継続性がないといけない…

一定期間ずっとエンジニア人員を確保し続ける契約形態につき、仕事のない場合でも同額費用となります。そのため、瞬間的なスポットでの発注ニーズには向いておらず、継続的に発生する仕事内容や開発業務に適しています。また業務軸にかぎらず、新規事業に積極的に取り組む企業での社内エンジニアのオフショア援護射撃部隊として機能させられる可能性もあります。

■4-2. 一定以上の期間は待ってあげないといけない…

現地のエンジニアメンバーは、あなたの会社のことを全く知らないわけですので、その開発手法や管理手法を理解し、様式に慣れていくまでにある程度の時間を要します。そうした背景から、一定以上の成果が出るまで「待っていただける精神」も大切になると考えられます。時間軸で多少の線引きは必要ですが、早すぎる判断で撤退する企業が後を絶ちません。オフショア開発に、短期での成果はありません。

■4-3. 自分たちでイニシアティブをとらないといけない…

自社によるイニシアティブを発揮できなければ、ラボ型開発(ラボ契約)は活きてきません。そのため、マネジメント・ディレクションスキルを持つ人材の存在が不可欠です。またデメリットではないのですが、「ハイスキルな開発人材をオフショア開発に積極投資できるか」という観点もあります。ラボ型の概念は「海外開発の内製化」にあり、社内の開発力強化と合わせて進めていくことが推奨されます。

■ラボ型開発(ラボ契約)の分析まとめ

今回は、従来のオフショア開発からの教訓を踏まえて、自社主導の海外開発活動を試みるべく現地に打って出るための「ラボ型開発(ラボ契約)」の概要およびメリット・デメリットをご紹介しました。もちろん現地法人・請負型開発の良さもあるため、ラボ型開発(から始めるアプローチ)が圧倒的に良いとは断言できませんが、双方に比較すべき対象であることは間違いないはずです。

 

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