企業成長を「事業開発と組織開発」の観点でブレイクダウンしてみたら

いよいよ師走直前、11月最後となる本記事では「企業はどうすれば成長できるのか?」に事業開発/組織開発軸からスポットライトを当てます。企業の成長エンジンとなるべく日夜奮闘されている方々、ぜひご覧ください!

[0] 背景:現状維持では後退するばかり…

企業が変わり続けること、それは大変なことです。巨大化した組織、環境適応しすぎた組織は、新たな環境変化に対応しにくく、自己革新も容易ではないことが知られています。とはいえ、成長しないといけない!どんどん動きにくくなるけれど、成長はしないといけない!こうしたジレンマは少なくありません。

組織規模が大きくなると、トップの神通力が効かなくなる瞬間がやってきますので、トップダウン(上意下達)だけでない総合的な成長要素を育んでいく必要があります。しかしながら多くの場合、現場側には「成長!成長!とはいうけれど、具体的にどうすれば成長できるんだ!?」という混乱が起こります。いきなり、ボトムアップだ!さあミドルマネジメントだ!と叫んでみても、すぐに手応えはないものです。

成長という命題はフワッとしていてマルっとは立ち向かえません。企業成長の押しボタンも各社さまざまです。けれども「どのような押しボタンがあるか?」その思考に幅を持たせておくことはやはり大切です。今回は、事業開発や組織開発に近年たずさわった自身の経験を活かして、企業成長のブレイクダウンを試みました。

[1] 企業成長=市場獲得活動×組織価値向上

まず企業成長を「市場獲得活動」と「組織価値向上」に分けることからスタートします。市場獲得活動(=市場獲得経営)は全社戦略策定や意思決定等の「経営判断」に関わる定義とし、組織価値向上は「現場とミドル」が成長の主砲となる舞台としました。

breakdown1

[2-0] 市場獲得活動=既存事業+新規事業

市場獲得活動の内訳は「既存事業」と「新規事業」で組み立てています。「既存事業」は一般的に言うところの既存事業に加えて、既存の延長戦上にある新規事業を含めることで、市場理解が高い事業全般を指します。逆に「新規事業」は市場理解の少ない新規事業、もしくは市場がまだ存在していない新規事業の扱いとしました。一般的な定義とはズレがありますが、やはり既存の延長線上にある新規事業と、飛び石である新規事業は同様には扱えない印象につき今回は別分類としました。

[2-1] 既存事業(=既存市場・既存延長)

既存事業(※既存市場・既存延長)では「市場中心」に考えていくべきものです。有名フレームワークの3C(Customer, Competitor, Company)も「どんな市場があって」→「そこにはどんな競合がいて」→「自分たちはどうなってて」→「今後どうするか」というように、市場が圧倒的な起点になります。逆に、新規事業側ではあまり使いません。「市場創造」に関してはそもそも市場がまだ存在せず、「新規市場」に限っては市場中心で意思決定してしまうと、なかなか上手くいかないものだからです。

[2-2] 新規事業(=新規市場・市場創造)

新規事業(※新規市場・市場創造)は本当に難しい領域です。人材を既存事業に最適化させるほど、新市場への参入や新しい市場創造を不得意とするジレンマがあります。そして忘れてはいけないのが、スタートアップは「当事者のビジネス」であり、社内の新規事業は「会社のビジネス」ということです。それだけにスタートアップとは異なる技術が求められます。やれる人材/チームがいるか、ビジョン・企業文化に合うのか、シナジーを気にしすぎていないか、どれだけ投資できるか、いつまで待てるか等。いくつかを挙げてみましたが、やはりケースバイケースです。

スクリーンショット 2015-11-30 12.57.28

[3-0] 組織価値向上=人事×組織ハード×組織ソフト

どれだけ素晴らしい計画や戦略があったとしても、一緒に歩いてくれる人たちと強靭な足腰がなければ、目的地に到達することは不可能です。ここからは「人事」と「組織」の両輪で、組織価値の向上を見ていきたいと思います。組織のチカラは生産性・収益性に影響し、企業の持続可能性にも直結していきます。私の場合は「人事・組織」軸でのアプローチが得意ですので、ここでは「組織価値向上=人事 × 組織(ハード&ソフト)」に分けましたが、切り口は各自の嗜好に合わせていただくと良いでしょう。

[3-1] 人事=人を活かすこと ※事業は人なり※

現代企業では「人」にまつわる価値が高まっています。前世紀であれば「プロセス」を活かすことが競争力でしたが、いまや「人材」を活かせることが競争力です。「人事」と言った時に、人によって思い浮かべるイメージが異なるものです。しかし「人事」と一言にいっても、非常に幅広いのが実態です。例えば、良き人を採用し、責任をもって育成し、良い人材/仕事には良き評価/処遇をもって対し、経営と現場をつなぎ、組織の多様性と革新性を生み出し、これを保ち、人事制度や仕組みの定着化させては刷新し続ける など、さまざまです。

[3-2] 組織 (ハード)=良い箱を組織的に作ること

人事に組み合わせて生きてくるのが「組織」だと思います。まずハード面は、全社/事業戦略をもとに、即した組織設計や業務設計、システム設計等を一気通貫で整えることが重要です。ハード設計は、例えばですが、事業運営を通して得られる「情報」がインフラに落ちてくるよう設計し、また「顧客価値」を最適なかたちで安定的に生み出せるようオペレーションを構築し、状況に合わせて改善・刷新を続けていくようなイメージです。本領域は、各論の最適解に手が届く距離にある人々の創意工夫から継続的に磨かれていきます。

[3-3] 組織 (ソフト)=柔らかい器を組織的に創ること

最後に注目したいのは、なんといっても「コミュニケーション」です。実際のところ、組織問題のほとんどがコミュニケーションに起因しているといっても過言ではないぐらいです。コミュニケーションは主に上下方向と左右方向があり、大別して「リアルタイムコミュニケーション」と「定期コミュニケーション(報告や会議体等)」に分けられます。加えて、アウトプット最大化に向けたモチベーション、セクショナリズム打破に向けたコラボレーション、革新性の増大に向けた社内外とのイノベーション、こうした柔らかい組織的な器を組織的に用意することが大切になってきます。

スクリーンショット 2015-11-30 13.00.34