いまオフショア開発は、なぜベトナムなのか?(ベトナムオフショアの魅力 2015-2016)

いまオフショア開発なら「ベトナム」です!と、それはもうあちこちで言われます。ホントにあちこちで言われているのですが、書きすぎてわるいこともないだろうと思いまして、新しい視界から情報発信すべく、このたび一筆とらせていただくことになりました。

■オフショア開発!あなたはどの国を選びますか?

率直に言えば、オフショア開発に初挑戦の方も既にご実施の方も、絶対に外せないのは「どの国を選ぶか?」です。中長期的に競争力を上げていくために、オフショア開発へいまから投資しておきたい企業にとって、これは最重要事項になります。

政治・社会・経済・技術・文化など、国を見つめるポイントはさまざまですが、従来のオフショアではコストダウンの短期目標化から「ある時点のおける賃金の安さ」、言語の壁をできるだけ感じないための「日本語対応者の多さ」で進出先を決めることが多かったように思われます。

急注目のベトナムをはじめ、過去にあまたの企業がオフショアしてきた中国・インド・フィリピン、そして今後期待されているインドネシア・バングラデシュ・ミャンマー・カンボジアなど、たくさんの国がオフショア開発地として熱視線を浴び、それぞれの良さを主張しています。

これだけあると、論点を絞らないことには選べません。そこで「日本が最後まで一緒にいけるパートナーは果たしてどの国なのか?」を考えていただきたいと思います。一発やったら終わりというような関係性ではなく、長い目でグローバルパートナーシップを築くことに双方が意欲的であり続けられる国はどこでしょうか。

いやいや日本は日本人だけで大丈夫ですよ、他の国とのパートナーシップなんていりませんよ!という反論もあるかもしれませんが、日本の人口動態(人口構造の変化)が現在進行形で大きくそびえ立っています。日本は日本人だけで大丈夫という21世紀ではなさそうです。

それでは本題の「いまオフショア開発は、なぜベトナムなのか?」をいくつかの観点からご紹介していきます。※ここでは敢えて「価格競争力」にはふれません。もちろん安価ではありますが、コストメリットは結果的に出すもので「安い!」は先行しないからです。

■ベトナムとはどんな国?まず基本情報!

ベトナム(正式名称:ベトナム社会主義共和国)は、東南アジアのインドシナ半島・東部に位置しています。北のハノイ、南のホーチミン、中部のダナンが三大都市であり、首都はハノイです。国土は南北に伸びており、ベトナムの面積は約32万平方キロメートル、ベトナムの人口は約9,250万人 ※日本の面積は約37万平方キロメートル、日本の人口は約1億2,700万人(2014年末時点)。北は中国、西はラオス、南西はカンボジアと国境を接し、東は南シナ海の向こうにフィリピンがいます。日本と同じ大乗仏教が伝わった国であり、宗教には厳しい教えや戒律がない前提で仏教≒80%(無宗教者も多い)。公用語はベトナム語ですが、英語を話せる若者が増えており、日本語も人気があります。

■日本−ベトナムの政治関係が良好!

オフショア開発の歴史として、過去の進出先に最も選ばれたのは中国でした。しかし日中関係の悪化など政治的背景から大きく影響を受けやすく、企業レベルで長期的なパートナーシップを築きにくい状態が依然として続いています。これに加えて、現タイミングでは賃金水準も従来と比べて飛躍的に高まっており、中国はもはやメーカーではないという見解もあります。日本とベトナムの政治関係が良好なことは特筆すべき点です。日本のベトナムに対するODA投資額は第一位(2015年現在)であり、それをベトナム政府としても意識的に国民伝達するようにしているため(戦略的パートナーシップ対象)、ベトナム人には親日感情が育まれています。そして日本は戦後アジアで目覚ましい経済成長を遂げた国としてベトナムの良いロールモデルになっています。

■ベトナムIT人材100万人の国家計画!

ベトナムは、現在で約35万人と言われるIT人材の数を「2020年までに100万人」に引き上げる国家計画を進めています。ベトナム政府としてIT人材比率を上昇させることに加えて、国家の総人口も現在の9,250万人(2014年末)から年間100万人前後の増加が続いています。こうしたベトナム政府の方針からIT産業は最高の優遇措置を受けており、IT産業全体にさまざまな好影響をもたらしています。昨今の外資に対する規制緩和や税制面での優遇措置は見逃せません。ちなみに、ベトナム国内におけるソフトウェア開発の約50-60%は日本向け。優秀層がITエンジニアになる国でもあり、学術機関による教育レベルも年々向上してきています。

■高度経済成長とインフラ改善!

ベトナムの2015年の経済成長率は「6.5%程度」で着地見込みです。ベトナム戦争後、経済急成長のきっかけになったのは1986年のドイモイ政策でした。ベトナムが近代化・工業化を目指すために「市場メカニズム」や「対外開放政策」の導入を通して経済的に大きな成果を上げたものになります。そして経済成長の波に乗って、2007年にWTO正式加盟。昨今のTPP大筋合意から好影響が見込まれ、年末始動のASEAN共同体(特に経済面)も中長期で好材料となるのではないかと考えられます。経済成長に加えて、インフラ面での成長も注目すべき点です。5年前(2010年頃)であればインフラの弱さが目立っていたかもしれませんが、ベトナム政府を中心としたインフラ強化施策から急速に改善されてきているのが現状です。

■ASEAN共同体による追い風!

ベトナムは1995年よりASEAN加盟国になりました。ASEAN(東南アジア諸国連合)はまもなく2017年に設立50周年を迎えます。世界人口の8.8%を占める6億人を誇り、GDP合計額は過去7年間で+80%増加し2兆6,000億USD(約320兆円)に到達しています。ASEANは上昇軌道にある6億人単一市場として期待が高まるばかりです。そして、2015年末にいよいよ正式始動するASEAN共同体は「政治・安全保障」「経済」「社会・文化」の3本柱で構成されており、同地域の安定的な経済発展に今後いっそう寄与するものと考えられます。
[参考記事] ASEAN共同体の発足を宣言、6億人単一市場に期待(VIETJO, 2015.11.24)

■トップクラスの親日国で学生交流も活発!

ベトナム人はアジア諸国の中でもずば抜けて「親日」です。国民の行き来も盛んになってきており、日本在住の海外留学生ランキングにおいて、2014年に「第二位」にベトナム人が上がったことをご存知でしょうか。ベトナム人留学生は2万6439人(2014年)となり、前年の1万3799人(2013年)から倍増しています。中国と韓国の留学生が減少する中、ベトナムから日本に訪れる人々がふえています。二国間の国際関係において、相手国を体験した国民が多いことが継続的な社会交流につながるという意味で、こうした留学生増加はプラス要因として捉えています。

■日本と親和性の高い文化と国民性!

国民性を考える上では、まずはじめに「日本人と全くおなじ人々は海外にいない」と意識変革が必要です。実際のところ、空気を高次元で読み合う国はあまりありません。そうした前提から、すべての比較は日本以外の諸国間での相対的なものになります。ベトナム人の気質としては、日本との文化的な親和性を持ち(もちろん地域ごとに文化差あり)、向上心が高く最も勤勉なレベルにあり(日本人の勤勉さは世界的には異常値)、個人主義よりも集団主義で、数学・物理の素養が極めて高い(例えば物理五輪の上位常連)といったようなことが挙げられます。

■とにかく若い!平均年齢は28歳!

平均年齢「45歳」の日本に比べて、ベトナムは「28歳」です。全世代の中で20代人口が最も多く、若くて成長ポテンシャルのある人材を豊富に確保しやすい社会構造があります。中長期的な視野で海外進出を考える際に最も重要なものの一つが対象国のデモグラフィックデータ(人口統計情報)です。人口減少と少子高齢化が同時に進行する日本国内とは対象的に、ベトナムは2040年頃まで人口ボーナス期(生産年齢人口がその他人口より多い時期)が続いていく統計となっていることは見逃せません。

■まとめ:今後のオフショア開発とベトナム

今回は「いまオフショア開発は、なぜベトナムなのか?」をご紹介しました。企業ごとにご事情が異なると思いますので、世界中のあらゆる可能性の中で「圧倒的にベトナムです!」とは断然しにくいのですが、極めてトップクラスにあることは間違いないはずです。

オフショア開発に対するニーズについても一概には言えませんが、もしあなたの企業がオフショア開発をする!と決めていて、自社リソースのようにオフショアを機能させたい!と考え、いずれは現地法人化まで考える!と計画される場合は「ベトナム」を推奨しています。

5年前なら、ベトナムではないかもしれません。ただ、5年後でもまだベトナムかもしれません。高度経済成長期のベトナムは、5年後は別の姿です。2015-2016年のいまから、いまだからこそ、ベトナムへのオフショア開発投資をおこなう先見性が問われる瞬間ではないでしょうか。

従来のオフショア開発は短期間プロジェクトベースが多く、幾多の企業がコスト感や参入しやすさに軸足を置いて突入したところ、失敗プロジェクトが量産されてしまい、当然ながら海外開発活動における「持続可能性」が得られませんでした。

3-5年前のオフショアブームをいま振り返ると、コストを短期目標に突入していった企業のほとんどが玉砕し、現地にチームを創る気概を持ち続けた企業から成功事例が出ています。

これまでの業務効率化やコスト削減という「守りのIT投資」を超越し、企業の競争力向上・開発スピードの高速化・開発業務の国際分業化などの「攻めのIT投資」を目指すのであれば「中長期的な視界」で投資すべきであり、目先にとらわれてはいけないと言えるでしょう。

最後に繰り返しになりますが、安い!は基本的に先行しません。コストメリットは最終的に出すものです。あらためてご注意ください。

 

(ベトナムの開発拠点をすべて自前で立ち上げるのは大変なことです。もし本記事の内容にご興味いただいた方は「ネオラボのラボ型開発も合わせてご確認いただけると良いかもしれません。)

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