社内新規事業(コーポレートベンチャー)をブレイクスルーさせる思考法

社内新規事業、社内ベンチャー、コーポレートベンチャー、呼び方は異なれど、既存企業が現行の主力事業とは別に「新しい事業の芽」を育てようとする時に使われる言葉です。

いま成長期を迎えている事業も、いずれは衰退期に入っていきます。事業のライフサイクルが年々短くなる中で、社内から新たな事業を輩出する必要性はどんどん高まっています。

しかし実態として、社内新規事業では数多くのジレンマが発生し、挑戦者たちを栄光から遠ざけます。今回は、社内新規事業(コーポレートベンチャー)をブレイクスルーさせる思考法を考えていきます。

 

■既存事業に最適化されたスキル/マインド

“大企業的”になるほど社内資源(リソース)の発展的・革新的な活用によるアプローチを不得意とし、成功すればするほど「既存事業に最適化された人材、そのスキルとマインド」が新たなマーケットへの挑戦・創造を阻んでいくものです。

戦後の高度経済成長を通して右肩上がりを味わった日本社会では、既存産業はいずれ衰退するという全体認識に遅れをとり、大きな危機感が生まれなかった結果として停滞してしまいました。

現行事業の衰退をもって、会社の運命を閉じるのであれば、それは事業体の域を超えられないことになります。成長することが現代企業の宿命とするのであれば、新しい芽を摘むことは決してならず、大切に育てざるを得ません。

そうは言っても「瞬間的な熱さの集合」としてのベンチャースピリットと、「持続的な冷静さの蓄積」としてのコーポレートマネジメントは同時に折り合うものなのでしょうか。

 

■イノベーションのジレンマは超えられるのか

本当に強い組織は、進化論上の強い種と同じく、外部環境や時代の変化に応じて自身を適応させていけること、あるいは変化を自ら生み出していくことを実践できる人材とカルチャーを持っています。

市場を創ってルールを決める、競争軸を変えて新しいルールを創る、など、未来を予測する最も簡単な方法は、自らイノベーションを起こすことであるとはよく言われますが、実際は既存事業との兼合いで躊躇してしまうケースが多いのではないでしょうか。

また巨大化した組織や環境適応しすぎた組織ほど、新たな環境変化に対応しにくく、自己の革新が容易ではないことが知られています。企業が成長しながら変わり続けることは、一大事なのです。

 

■外と繋がることで持続可能性を高める時代

ジレンマを乗り越えて、新規事業を成功させている企業は「外」を活かすことが上手い傾向にあります。「外」とは、部門外、事業外、業界外、社外、海外から、産業外(学術機関など)、協業対象外だった多様な個人、雇用関係外のアドバイザー陣まで含まれます。

歴史学や人類学では「革命は周辺から起こる」とされます。明治維新は「薩摩・長州・土佐」が中心となり、京都中心の貴族社会は「鎌倉幕府」が終止符を打ち、フランス革命・アメリカ独立に受け継がれた民主主義/自由主義の精神は「教会や封建制によって抑圧され押しのけられていた人々」から出発しました。

従来に外からやってくる「コンサルタント」の重要な役割の1つは、外からの圧力によって現状に対する認識を強めること、今後に進む道を経営と現場に激しく迫ることでしたが、相対的に問題解決型であり「イノベーション文化」まで形成することは稀でした。

いまだからこそ、新しい”外”との共創基盤を生み出し、イノベーションならぬ「コーポレートベンチャーのジレンマ」を乗り越え、「持続可能性の高い組織体」を目指すべき時代の波が来ているのではないでしょうか。

 

■センミツの世界で成否を決めるものはなにか

新規事業を思考するにあたり、どうしても「アイデア」や「事業内容」から入ってしまいがちです。しかし米国シードファンドの実例にも見られるように、スタートアップ/ベンチャーの成否を決めるのは、結局のところは「人」、もっと言えば「チーム」に他なりません。

スタートアップは「センミツ」つまり「3勝997敗」という世界ですが、優れたチームは初回で成功しなくとも、何回目かで成功させる確率が高く、「シリコンバレーの起業家は、3回目で成功する」という言葉もあるぐらいです。

VC(ベンチャーキャピタル)も事業計画ではなく、人を見て投資を決めるタイプが多いのは、新規事業の不確実性が無数にあることを前提に、やる人間はいつかやることを買っていると言えます。

 

■最大$20の価値しかない!? アイデア主義を超えて!

アイデアにはどれだけの価値があるのでしょうか。起業家デレク・シヴァーズの「ideas are just a multiplier of execution」では、アイデアとは「実行(エグゼキューション)の単なる乗数」であり、最高のアイデア(BRILLIANT IDEA)でも「$20」の価値しかないと述べています。

逆に最高の実行(BRILLIANT EXECUTION)には「$10,000,000」を付けていますが、全く実行しなければ(NO EXECUTION)、最高のアイデアをもってしても「$20」であり、彼は実行を見るまでアイデアには興味がないとのことです。(※実行×アイデア=価値)

 

■社内ベンチャーは「人材・チーム」こそ投資対象!

世の中で、アイデアを考えつく人間は、1人ではありません。幕末で言えば「薩長同盟」や「大政奉還」、最近のところ言えば「iPhone」や「Facebook」も、考えつく人間は複数いたかもしれませんが、結果的に、時勢を得て優れて実行していった人物たちが事を成しています。

アイデアは大切ですが、アイデア自体に重きを置きすぎてもいけません。実行とは何かを問えば、それは「やる人材」であり「やるチーム」です。もしそうであれば、社内新規事業(コーポレートベンチャー)を成功させる秘訣は、アイデアではなく「人材、チーム」を投資対象とすることではないでしょうか

 

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