【徹底解説】人材調達戦略のパラダイムシフト(第2弾):アウトソーシング戦略の処方箋

前回の第一弾では、オープン化する世界の中で起こりつつあるパラダイムシフトを示し、外との共創基盤づくりに動き出した企業の変化を踏まえながら、その潮流を「アウトソーシング」から追い始めました。今回はアウトソーシングに代表される「社外×国内」のポジショニングを見ていきたいと思います。

 

■米国と日本、アウトソーシングの明暗 

一昔前、米国式経営手法としてのアウトソーシングが有望視され、数多くの日本企業が「経営の最適化」を目指した時代がありました。そこでは「社外に委託するための戦い」が起こり、日米間の仕事に対する文化・進め方の違いが明暗を分けることになります。

米国社会では、国民的なダイバーシティ(多様性)の中で、「コミュニケーションはズレるもの」であることを前提に、ローコンテキスト文化が形成されています。適応するようにビジネスでも「仕事の定義、分業化、ドキュメント化」などが高いレベルで進められてきました。

一方、日本社会では、いわゆる「阿吽の呼吸」「以心伝心」「行間・空気を読む」といったような、ハイコンテキスト文化でのコミュニケーションスタイルが根付いています。そのため、社内の文脈で意思疎通できない社外とのやりとりは比較的不得意とします。

実際のところ、日本企業による多くのアウトソーシングは「丸投げ」に近いかたちになってしまうことが少なくありません。仕事定義における敢えての曖昧さや、発注側の控えめなイニシアティブ不足から、実行フェーズで「コミュニケーション不全」や「ブラックボックス化」が引き起こされ、成功体験を得られないことが多々発生します。

 

(人材調達マトリクス上のアウトソーシング)

 

しかしそうした環境下でも試行錯誤を重ね、創意工夫の末に「社内と社外の垣根」を超えたアウトソーシングを実践し、競争力強化や顧客価値の向上に繋げている企業も存在します。

「競争力の源泉」をどのように生み出されるかに思いを巡らすと、どの企業でも簡単に実現できてしまうことは競争優位性になりません。難易度が高ければ高いほど、実を得られる企業の数は少なくなっていきます。良薬は口に苦いものです。

 

■個人のチカラとクラウドソーシング

最近ではアウトソーシングにさらなるスピードとフレキシビリティ(柔軟性)を追い求める動きが出てきました。これらに応えるものとして、昨今話題の「クラウドソーシング」を次に見ていきたいと思います。

クラウドソーシングは、アウトソーシングの一形態であり、インターネット(オンラインプラットフォーム)で「発注したい企業」と「受注したい個人」をマッチングし、仕事の進行管理から決済までを完結できるものです(※その定義次第では企業と企業のマッチングやオンライン上で完結しない場合も含まれます)。

クラウドソーシングで語られることが多い「働き方の多様化」や「企業と個人の関係性再編」は、いま起こっている未来である人口動態に対し、国内における顕在労働力の最大活用と、潜在労働力の顕在化(及びその教育)を推し進められる可能性を持っています。

 

(顕在労働力の最大活用、潜在労働力の顕在化イメージ)

 

21世紀の企業たちは最も速くなった個人のチカラを活かしきろうとし、21世紀の個人たちはインターネット(クラウド)に繋がっていれば世界中どこからでも仕事を遂行できる機動力を手に入れようとしているのです。

今後のクラウドソーシングが乗り越えていく大きな課題としましては「組織化されていない個人に向けた与信基盤づくり」や「非対面での受発注能力・コミュニケーションスキルの向上」などが挙げられます。

 

■アウトソーシング戦略の処方箋

アウトソーシングは良くも悪くも流動性があります。中長期的な企業資産(アセット)の形成にはもしかすると直結しないかもしれません。また、社内に外任せにする気分を残し続けることは得策とは言えませんし、企画・ディレクション機能を内製化できないことで成長機会を逃すこともありえます。

またアウトソーシングは競争力を向上させる可能性を抱える一方、競争力の源泉となっている「コア業務」を外に出さないよう必要以上に注意すべきです。コアを外出ししてしまうと、競争力を損なう可能性があるだけでなく、それを取り戻すことが困難になるケースもあるからです。

加えて留意すべき点は時間軸の意識であり、その成果が「どれぐらいの期間で得られるものなのか」を判断することです。この時間軸を読み間違えてしまうことで、核心を突くアプローチが出来ていないことは意外に多いものです。対象次第では中長期視点で「待てること」が必要条件になってくるかもしれません。

最後に、戦略レベルでアウトソーシングの魅力を引き出し、企業の良薬とするためには「どのように使用するのか」という点が大切であると思われます。使用上の注意をよく読み、用法用量を守って正しくお使いください。

 

※次回予告・・・【第3弾】Web時代の内製化・グローバル人材調達
“Webサービス開発やスマートフォンアプリ開発のニーズが増加するなか、多くの企業が「内製化」の重要性を肌で感じ、「Web・アプリ」領域における開発内製化へのシフトが起きています。”(全文は近日公開)

※前回分・・・【第1弾】オープン化する世界における企業経営 を見逃した方はこちらから
“日本人にとって、社外・海外という未知の世界を見渡せば、そこにはどんな可能性と多様性が広がっているのでしょうか。時は21世紀、「外」の世界に向けて、企業・個人の新しい挑戦が始まっています。”